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 建設リサイクル法
建設リサイクル法が動き出す

 平成12年5月24日に国会で成立,所要の施工準備が進められている『建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(略称:建設リサイクル法)』が、いよいよ本年4月1日からの解体工事業者の登録受付をもって一部施工になります。

 法律全体も、以下の通り本法の成立後2年以内に完全に実施することが決定されており、建設リサイクル法への対策を具体的に考えなけれならない段階に入りました。

建設リサイクル法の排出事業者に関するポイント

分別解体・分別搬出の義務化
  1. 一定規模以上の新築・解体工事について、分別解体、分別搬出を義務付け(*)
    • 解体工事80m2以上
    • 新築工事500m2以上
    • 土木工事500万円以上
  2. 解体工事技術指針を検討

*都道府県の条例で、より小さな建築物等を対象にできる。
(施工時期:平成12年5月から)


再資源化の義務化

分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化を義務付け(*)
  • 木くず
  • コンクリート
  • コンクリート及び鉄からなる建設資材
  • アスファルト紙、金属は従来どおり

*都道府県知事は、特定建設資材廃棄物の追加ができる。

(施工時期:平成12年5月から 2年以内)


分別解体等及び再資源化分等の実施を確保
  • 発注者による工事の事前届け出
  • 元請から発注者へ、最終処分が完了したことを書面等で報告
  • 解体工事業者による標識の掲示

(施工時期:平成12年5月から 2年以内)


発注者・受注者間の契約手続きの整備
  • 元請は、発注者及び下請業者に対し、分別解体の計画等について書面を交付
  • 契約書に分別解体の方法、解体、収運、処分費用を明記

(施工時期:平成12年5月から 2年以内)


解体工事業者登録制度の創設
  • 解体工事業者の登録制度
  • 解体工事現場への技術管理者の配備

(施工時期:平成13年4月)


罰則規定の整備
  • 分別解体等及び資源化等に対する命令違反
  • 届出、登録の手続き不備等

(施工時期:平成12年5月から 2年以内)


工事の発注者や元請業者等に課せられる義務

 上記の通り、この法律の適用により、適正な分別解体等及び再資源化等の実施を確保するため、発注者による工事の事前届出や元請業者から発注者への事後報告、現場における標識の掲示などが義務付けられます。

 また、受注者への適正なコストの支払いを確保するため、発注者・受注者間の契約手続きも明示することも義務化されます。

それぞれの関係者が行わなければならないことがらは以下のようになります。

元請業者から発注者への説明

対象建設工事の元請業者は、発注者に対し、分別解体等の計画等について書面を交付して説明しなければならない。

発注者から都道府県知事への工事の届出

発注者は、工事着手の7日前までに、建築物等の構造、工事着手時期、分別解体等の計画等について、都道府県知事に届け出をすることになります。

元請業者から下請業者への告知

元請業者は、下請業者に対しても、都道府県知事への届出事項を告知する必要が生じます。

契約書面への解体工事費等の明記

対象契約工事の契約書面には、分別解体等の方法、解体工事に要する費用等の明記が必要になります。

標識の掲示

解体工事業者は、解体工事の現場ごとに公衆の見やすい場所に標識を掲示しなければなりません。(所要の新築工事における掲示形態については、現在調査中です。)

元請業者から発注者への事後報告

元請業者は、再資源化等が完了したときは、その旨を発注者に書面で報告するとともに、再資源化等の実施状況に関する記録を作成、保存しなけらばなりません。


工事の発注者や元請業者等の義務違反に関する罰則

 この法律では、分別解体や再資源化等に対する命令違反、届出、登録等の手続きに対して、発注者や受注者に所要の罰則が適用されます。特に、発注者(住宅の建て替え等による解体工事の場合は、多くは個人の住宅発注者)についても、これに違反すると罰則が課せられることになるので注意が必要です。

義 務 違 反 の 内 容 罰  則
  1. 登録を受けないで解体工事を営んだ者
  2. 不正の手段によって解体工事業の登録を受けた者
  3. 事業停止命令に違反して解体工事業を営んだ者
1年以下の懲役
50万円以下の罰金
  1. 分別解体等又は再資源化等に関する命令に違反した者
50万円以下の罰金
  1. 対象建設工事の届出の内容に係る変更命令に違反した者
  2. 解体工事業の登録内容の変更が生じた場合において、届出をせず不正又は虚偽の届出をした者
30万円以下の罰金
  1. 対象建設工事の届出をせず、又は虚偽の届出をした者
  2. 登録取消しの事実を発注者に通知しなかった者
  3. 技術管理者を選任しなかった者
  4. 解体工事業者又は対象建設工事受注者で都道府県知事の報告徴収届出に対して報告をせず又は虚偽の報告をした者
  5. 解体工事業者で都道府県知事の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
  6. 対象建設工事受注者で都道府県知事の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
20万円以下の罰金
  1. 再資源化等の実施状況に関する記録を作成せず、若しくは虚偽の記録を作成し、又は記録を保存しなかった者
  2. 解体工事業の廃業等の届出をしなかった者
  3. 解体工事業者の標識を掲げない者
  4. 解体工事業者で帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者
10万円以下の過料
 本法に基づく義務の履行を十分に担保するためには、違反行為の実行者のみを処罰の対象とするのではなく、違反行為の実行者を雇用している法人又は人自身も処罰の対象とする。このため、第52条では、従業員等が法令違反行為を行い処罰される場合には、その従業員を雇用している者も処罰するいわゆる両罰規定を定めている。 ※両罰規定